最低最高カレシ


龍之介って奴が俺を見る。


伊織を後ろから抱きしめるように首に腕をまわす。


「潤…」


その腕を伊織が握る。


「あなたが植田先輩の彼氏ですね。」


「そうだけど?」


なんだよ…怖い顔して。


「宣戦布告に言いますけど、植田先輩をください。」


…は。


まるで俺が伊織のお父さんみたいじゃねーか。


しかも彼氏に言うなんて…こいつバカだろ…。


「お前バカじゃねーの?伊織は俺のだし。帰れ」


「…俺はあきらめませんから。じゃーね!植田先輩☆」


そう言って風のように去っていった。


「なんだよあいつ…すげぇむかつく。」


「潤…ごめんね…」


伊織が俺を見る。


「…伊織…俺から離れんなよ…。」


「うん、ずっと一緒だよ…。」


そう言って俺らは抱きしめあった。


俺らはまだ知らなかった

あいつがどんな奴なのかも、本当の目的がなんなのかも…。



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