優魂者
今度は少女が先手を切った。今度は突きではなく蹴り。左足を軸にして右足を振るって蹴りを放つ。速さ、重さ共に一撃でこめかみを砕き絶命させるほどの破壊力を余裕で誇っている。
その蹴りをしゃがんで避けて、しゃがんだ間々踏み込んで木刀を振るって顔面を潰さんとする。
バキン
「……すぅ」
少女の顔面に木刀が命中した、鼻筋をしっかりと捉えているが微動だにしていない。いや効いていない。成人男性の顔面をぐしゃぐしゃにして3メートルをも吹き飛ばす一閃をまともに喰らって無傷。人間離れした硬さだった。
「…おいおい反則だろ?」
無類はその姿勢のまま少女に愚痴を零した。
「狐流空手の成果だッ」
そのまま低い姿勢の無類の無類の鳩尾を殴る。
「がっ…はッ」
鳩尾を殴られ、肺から空気が漏れだすような声を上げてよろめくが、耐えた。気迫のみで、多分コンクリートブロックを破壊するだろう一撃を耐えきった。
そしてゆっくりと交代し、木刀を杖に倒れないようにする
「無類君!」
慌てて無類を支えようと薫が駆け寄る。
「いい、大丈夫だ」
それを片手で制止、木刀の杖無しで立ち、少女を睨む。未だ眼光は鋭い。戦闘続行の意志表示であった。