優魂者
「おい、此処は茶も出ないのか?」
村正が居間でぐてんとだれながら無類に聞いてきた
「正体不明の来訪者に出すお茶はねぇ」
「お茶が入りましたよ〜」
無類がそう言った矢先に薫がお茶を持ってきた。どうやら村正がお茶を注文する前にいれておいたのだろう。
「気が利くな、お前の嫁は」
お茶を啜りながら村正が冗談を言い
「もう何でもいいや……ところでお前、何で来たんだ?」
軽く睨み付けながら、前方に居る少女に問い掛ける。
「簡単だ、武蓮の遺言だ」
「「遺言?」」
無類と薫が同時に聞いてきた。薫にいたっては座りかけの体型で止まっている。
「まあ師匠曰く正式な遺言ではない。法的な力は何等ない。頼み事みたいなものだ」
落ち着いた感じで淡々とお茶を啜りながら語り
「…で、内容?まさか許婚でした。とか言わないよな?」
軽く凄みを出して問う。ただ凄みがありすぎて薫が少し引いた。
「許婚がその相手に殴り掛かるか…伝言と…加勢。あと、世話かな」
「なんだそりゃ……とりあえず、伝言だけ聞こうか」
聞きながらお茶に手を伸ばし、啜る
「分かった」
そして一呼吸置いて
「新山無類。お前は超能力者だ」
少女はそう言った