優魂者
「持ってきたぞ?」
暫くして無類が一降りの日本刀を持ってきた。素朴な白木拵えの日本刀だ。
「おお、持って来たか、とりあえずそれを構えて立て」
「ああ、分かった…」
言われた通りに、白木拵えの刀を抜き、正眼に構えて立つ。
「ちょっと動くなよ…」
村正はその抜き身の刃に腕を付けて、すっと動かす。軽く、だがそこは切れた。
「お前!」
「村正ちゃん!」
「………うむ」
驚く二人を差し置き、冷静に自分の傷を眺めた後
「まあこんなもんだ。そのまま動くなよ?」
そのあと、軽く怪訝な顔をしている無類に向かい立ち
「…鋼」
そう小さく呟いた。そのあと
「それ貸せ」
無類に手を差し出し、刀を貸すように促す
「はぁ…」
若干呆れながらなのか、諦めたのか、何だからわからない気の抜けた返事をして刀を渡す。
「……うむ」
渡された刀を見ながら軽く頷き、おもむろに道場の床に突き立てた後にその刃に向かって傷がついた方の腕を勢いよく振るった。
ガキン
と、刀が折れて、柄があらぬ方向に飛んでいった
「………」
「………」
その有り得ない現象を目の当たりにした無類と薫は目を呆気に取られていた
「これが、私の超能力だ」