優魂者
少年の振るった木刀が一人の不良の顔面を捕らえた。
木刀は減り込み、不良の鼻の骨を折り、顔を歪ませて高架線路の柱に吹っ飛ばしたたき付ける。
その様子を見た残りの不良がたじろぐ。恐れる。後退る。
木刀を持って一対多を繰り広げている少年は残りの不良を目で威嚇する。獣のように、冷たく。鋭く。獲物を狙い、食い殺すような。
その目を見た不良はまた恐れる。たじろぐ。
だが、恐怖というのは人を極度に緊張させ、思いもよらない行動をさせる。
「うぁぁあ!」
暴走させる。不良の一人が発狂したかのような声を上げて少年に金属バットで殴り掛かる。
それを殴り掛かる前に顔面を木刀で突き倒し、阻止。そして地面にたたき付けて気絶させる。
ひぃぃ。そんな情けない悲鳴が不良達から聞こえてくる。無理もない、何故なら十九人居た不良は既に十六人ものされていたのだ。
たった一人の少年に。