優魂者


自室にて少年はベットに伏せていた。塞ぎ込んでいるわけではないが、ただ単に自分が願っていることを考えていた。
自分の願い、それは“最強でありたい”こと。近場で剣道最強と謳われていた父親を見ていたからこそ思うもの、その父親に剣を習い、剣を交え、そして父親と同じように強くなると周りに期待された、その思いを受けて自分も最強になりたいと思った、他者から思われたものもあるが、自分が思ったものもある。
そう、少年は誰よりも、どんな者よりも最強になりたいと願っていた。それが自分の重荷、枷に成りながらも、彼はそう思い続けていた、今も、そしてこれからもだろう。

タタタ、と誰かが歩いてくる音がした。

「無類君、起きてる?ご飯、扉の前に置いておくね」

足音の主は薫だったようで、作ったご飯を扉の前に置いて、そのまま歩き去った

「…嫁か…いや…」

そうあって欲しいと思う願い、それが自分の支えと成っている。
彼は最強でありたいという願いと同時に、彼女を愛おしく思う気持ちがあった。
彼は彼女が扉の前に置いた食べを取り。手を付け始めた。

そうして夜は更けていった
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