優魂者


―逃げなくては殺される―

そう思った女性は直ぐに踵を返して逃げようとした。男との距離は約20メートルはあったため、通常なら逃げ切れると思い、女性は走った。

どさっ、と女性はこけた。
早く立ち上がって逃げなくてはと思ったがいくらやっても立ち上がれない。手をついて上がっても、そっから先、立ち上がることが出来ない。おかしいと思った女性は後を見た。すると自分の足の裏が見える。ふくらはぎが見える。ふとももが見える。お尻が見える。
そこで女性は気付いた。自分は腹から真っ二つに切り裂かれたのだと。
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