優魂者
「チッ」
横薙ぎに発生した切断を直感で感じ、伏せて避ける。
剣の間合い2メートルの中にある電柱やブロック塀がまるで羊羹の羊羹に簡単に切断された。
かれこれこの切断を30回以上避けている、その間避けきれずに腕を掠り腹を掠り脚を掠り首を掠る。
避ける事は大して問題ではない、直感に任せてそれに従い避ければいい、ただ反撃が出来ない、それでは勝つ事が出来ない。それと体力とその頼りの直感がいつまで続くか分からない。
「ッ…きっ………おっと…」
そのため避けながら、反撃出来る所に、反撃する為の武器が在る所にコイツを誘い込み―
「っと」
そして誘い込めた、工事現場だ。此処なら角材や鉄パイプ、幾らでも武器の代わりになるものが在る。
「キヒヒ、キヒヒ」
通り魔が笑い出した、どうやら俺が戦おうとする意志が分かったようだ。
そして通り魔が切断を右薙ぎに発生させる。それを直感で避ける。そして避けた先に間髪入れずに竹唐にまた切断を発生させた、それをやはり直感、見切れもしないし見れもしない。そもそも過程がないものを見切る事は出来ない。だから直感が頼り、不可視、瞬間移動自見た切断を紙一重で避ける。
がしゃんと後ろで音がする、鉄パイプを斬った音だ、それを即座に掴み、転がって通り魔から離れて、そして立ち上がり、構えて向かった。