優魂者
前に走って避けようとしたが
「なっ!」
先に落ちた鉄骨が道を塞いだ、そしてそこで止まったせいで完璧に逃げるタイミングを逃した。上から降り注ぐ多量の鉄骨。ソレを見上げながら無類は思った
“俺は此処で死ぬのか?”
まだ夢も叶っていない、父親を越える処か届いても居ない、まだまだ雑魚。証拠にあんな名前も分からない、イカレタ殺人鬼に手も足も出ない、避けているばかりだ。まだ“強く”に成っていない。このままなら死ぬ…
なら。今から強く成ればいい。今から、今すぐ、瞬間、刹那に強く成ればいい。そうすれば、今此処で…死ぬ事はない。
それに、俺は、まだ!死ぬわけにはいかない!!!
「死んでたまるかぁぁぁぁあ!!!」
無類は降り注ぐ鉄骨を睨み叫ぶ、そして無情にもその鉄骨の雨は無類を飲み込んだ。