優魂者
「他の部員は?」

鍋を定位置に片付けながら無類は問う。此処には無類と薫の二人しか居ない

「ん?皆?先に帰ったよ。まあ私が当番だから仕方ないけど」

「酷い先輩等だな、ちったぁ手伝ってやってもいいもんなのによ」

「仕方ないよ、私が1番下っ端だもん」

アハハ、と無邪気に笑いながら薫は言い

「まぁ、お前がそう言うならいいけど」

何故かその笑顔を見て恥ずかしそうに無類は顔を反らした

「………?」

その様子を不思議そうに眺めながら薫は首を傾げ

「…帰るぞっ」

鍋を片付け終えた無類は足速にその教室を出る

「ああ、待ってよ無類君」

その後を追うように薫も駆け足で教室を出た
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