優魂者
家路にそれは居た
ほんの、無類の家の直ぐ前に仁王立ちで
待ち構えていたに近い。その少女は居た
髪は腰まである長い黒のストレート。前髪は何故か左斜め下に一房ずつ突っ張っている
服装はカジュアル、白のTシャツに青のジーンズ。
「…誰だお前は?」
当然無類は見た事も聞いたこともない少女が待ち構えていたのに対して警戒、鞄を持つ方の手を広げ、薫を庇いながら問う
「…新山無類か?」
その少女は口を開き、無類の名を口にした
「質問してるのは俺だ、お前は誰だ?」
多少苛立ちながら再度問う
「私が何者か等はどうでもいい」
静かに構える。得物は持たず徒手空拳。構えは空手のそれに似ている
「成る程、じゃあ俺もお前を叩き伏せて名前を聞くとするか」
鞄を打ち捨て、袋から木刀を取り出し横に流して持つ
「ちょっと無類君、危ないよ?それと、相手女の子だよ?」
その様子を見ていた薫が止めに入るが聞く余地もない。
薫は知っていた、無類はこうなると無理矢理止めないと聞かない事は。しかし幼なじみ故、危ないことはしてほしくは無かった。止まらないとは承知の上だが、それでも止めようとした