優魂者
薫の制止虚しく無類と少女の喧嘩は始まった。
先手を切ったのは無類。軽く踏み出し、重心移動に寄って威力を増した竹唐を放つ。早さ、重さ共にまともな人間が直撃すれば一撃で昏倒するもの。その一撃を少女は腕で捌く、上手く腕を刀の腹に腕を当てて払い、木刀の軌道を反らす。そして間髪入れずに捌いていない腕を使い無類の顔面目掛けて突きを放つ。それを顔を横にすらして避けるが頬に掠る。そのあと少女と距離を離すために腹部に蹴りを放ち、無理矢理離れる。
その間一秒かかるかかからないか
二人とも達人並の実力を持っていた
「…………」
勿論一般人の薫には何が起こったか全く理解出来ていない。
「…出来るな、コイツ」
拳が掠った頬を摩る。ぬるりとした感触があったため摩った指を見ると血がついている、拳で切れたのだ
「…思ったよりやるな、今の一撃で殺れると思ったのだがな」
直ぐに少女は構える。少年の襲撃に備えて
「…やっぱり本気でいかないと手前はダメだな、俺が殺られる」
少年は構える、少女に切り掛かるために
勿論薫は放置である