死神は柑橘系 ～死の宣告とオキテ破りな恋～
2.死神のツトメ
駅前の広場で数人の若者が集まって地面に座り込んでいた。

若者達はタバコを手にやたらと大きい声で話し、ときどき笑い声を上げる。

周囲の人間は迷惑そうにしながらも誰も注意などすることなく通り過ぎていく。

そんな中、中年くらいの女性が若者達に
「ちょっとあなたたち、そんなところに座り込んで迷惑でしょう」
と声をかける。

すると若者のうち髪をオレンジ色に染めてツンツンに立てている男が立ち上がり、
「んだとババァ、うるせーんだよクソが！」
といきなり怒鳴る。

女性はその剣幕に少し押されながらも次の言葉をさがしていると。

そこに二人組みの女子高生が近付き、
「あの、すいません。」
髪を肩あたりまで伸ばした少女が声をかける。

「周りの人の迷惑になっているから静かにしたほうがいいと思います。」
続いてもう一人の髪を頭の後ろで二つにむすんだ少女が言う。

「あぁ？んだとコラ」
言いながら若者は二つ結びの方の少女を軽く突き飛ばした。

「キャッ」
少女はバランスを崩して後ろに倒れかけた。

「おっと」
それを一人の少年が片手で受け止めながら。

「女の子に手あげるとは、見かけどおりしょうもない奴だな。」
若者を見据えて言った。
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