求愛ラバーズ
「ん?なんだ?」


「……いえ。」





聞けないよな〜……。





お前も噂信じてんの?って言われそうだし、葛城さんは彼氏いるんだから戸高さんは元カレかもしれないし……。





「あっ!三井さんと…戸高、さん。」





トレーを持って来た桑畑は戸高さんを見るなり顔が引き吊っていた。





そんなあからさまにしなくても。




「今、葛城さんとすれ違ったんすけど、すっげぇいい匂いしたんすよ〜。なんの香水使ってるんですかね?」





チラリと戸高に視線を移すが、気に止めず黙々と食してる。





「葛城さんってフェロモン全開しすぎ!ああ〜お近づきになりたい。」





別世界に飛んでる桑畑を置いて、俺と戸高さんは食堂を出た。





「アイツ、なんでこの会社受かったんだろうな。」


「桑畑ですか?」


「そう。バカ丸出しじゃねぇか。不合格書類が紛れ込んだのかもな。」





否定も肯定も出来ないな…。





仕事は出来るんだけど、無駄話が多いんだよな。





女子社員並に噂話には食い付くし。





まぁ、イイ奴なんだろうけど助けてやる義理はないか。




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