求愛ラバーズ
「クソ餓鬼が大層な事言ってんな…。帰るぞ。」





地を這うような低い声が聞こえ、ゆっくりと後ろを振り向く。





「とっ戸高さん!?」


「邪魔して悪いな、三井。」


「いえ……。」





腕を組み、後ろに立つ戸高さんはかなり不機嫌だ。





「来たぞ、身元引き受け人が。」


「後は幸兄に聞いてもらいな。」


「お前ら、弟のくせして俺をよく使えるな。この貸しはでかいからな。」





弟………





「戸高さん、ご兄弟なんですか?」

「ん?ああ。コイツが次男で、この餓鬼が四男だよ。」





チカさんが次男で貴久くんが四男だった。





「ありさ、帰るぞ。」


「幸くーん!聞いてくれる!?」


「はいはい、わかったから。帰るわ。三井、また明日な。」


「はい、お疲れさまです。」





抱き着いて来た葛城さんを引きずり、戸高さんは帰ってしまった。




「戸高って陽介くんとチカさんのお兄さんだったんだ…。」


「ぶはっ!チカさんって!チカでいいから。」





陽介くん目掛けて吹き出したチカは可笑しそうに言う。





「ありさって幸兄だけには素直だよね。」




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