求愛ラバーズ
ベッドにダイブすると嗚咽が漏れ始める。





コンコンと遠慮がちにドアをノックする音が聞こえるが今は返事出来ない。





「ありさ。」





ドアをノックしたのはお母さんだったらしく、私を呼びながらベッドの端に腰をかけた。





「どうしたの?お仕事で何かあったの?」


「………。」


「彼氏と何かあったの?」





頭を撫でながら優しく聞いてくる。





頭を撫でられたのは久しぶり。





「彼氏と、別れ、たぁ……。また、浮気されて……。」


「そう、別れちゃったの。」


「そっそれで、三井さんと、色々あって…。」


「三井さんって秘書の方よね?」





宥めるような声にコクンと頷く。




「真剣で、力も出なく、て…こっ怖かったぁ…。でもっ、逃げたけど、私っ…へ、変で。」


「そう。」


「胸が、ザワザワしてるっ…。」





考えれば考えるほどザワザワして…。





「それって、ドキドキとは違うの?」





ドキドキなんかじゃない。





だって、苦しいのよ?





ドキドキするって苦しい事じゃないでしょ?




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