求愛ラバーズ
「ふふっ、まだ子供なのね。」





お母さんの声が安心したように聞こえる。





「ママね、少し寂しかったのよね。」


「なんで?」


「ありさってしっかりし過ぎなんだもの。全然甘えてくれないし、恋の話だってしてくれないから。」





だって、私は長女なのよ。





私がしっかりしないで誰がするの?





「本当はね、ありさがパパの会社を手伝うって言った時、少し嫌だったの。高校に入ってすぐに手伝い始めたでしょ?パパは喜んでたけど、ママは嫌だったな。」


「どうして?」


「だって、16歳って一度っきりしかないのよ?17歳も18歳もそうよ。その一度っきりを楽しまないなんて勿体ないじゃない。まだ学生なんだから、お友達と遊んだり、恋の話したりして欲しかったな。」





そんな事これっぽっちも考えなかった。





友達とはいつでも遊べるし、今は携帯があるんだから会って話さなくてもメールだって電話だって出来る。





「ママだって、たまにはありさとお買い物も恋の話もしたかったのよ?」





中学を卒業するころからかな…お母さんと会話らしい会話ってしなくなったかも。




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