求愛ラバーズ
「葛城さんと戸高さんって許嫁ってやつなんでしょ?」


「えっ!?そうなの?」


「噂じゃないんすか!?」


「噂って聞かれれば噂なんだけど、本当に近いらしいわよ。だってさ、頷けない?」


「ああ〜確かに!毎朝2人で社長室行くしね〜。いつ見てもいい雰囲気だし?」


「2人とも酷いっすよ〜…俺、葛城さん好きなんすから…。」


「諦めなさいよ。望みなんてこれっぽっちもないわ。」


「そうそう。戸高さん厳しいけどかっこいいし?高給取りだし?女の扱い馴れてそうだし?桑畑くんなんて可能性0ね。」





桑畑じゃなくて俺に向けられた言葉に感じた。





俺じゃ吊り合わないと





俺には無理だと、諦めろと言われたみたいだった。





「すまん、今日は帰る。」


「なんかあったんですか?」


「ああ、まぁ…。三井、後任せていいか?」


「あ……はい。」





PCの電源を落とし、鞄を持った戸高さんは秘書課を出て行った。





廊下で待つ、葛城さんと共に……。





「美人って特よね〜。」


「手に入らないものなんてないんじゃないのー?」




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