求愛ラバーズ
こんなに悩むくらいなら、落ち込むくらいなら、もう一度告白すればいい。





どれだけ本気か気持ちを伝えればいい。





頭では考える事が出来るのに、行動に移せない。





フラれたら?





拒絶されたら?





俺は心が強い人間じゃない。





情けない事に男らしくもない。





ウジウジと悪い事ばかり考えて後悔ばかりだ。





もう、会えなくなるんだったらこの気持ちは忘れるべきなのかもしれない。





忘れるなんて……出来るわけないのに。





「お疲れ様でーすっ!」


「あ、ああ……お疲れ。」





桑畑の大きな声にハッとして、時計を見ると上がりの時間になっていた。





俺もPCの電源を落とし、鞄と上着を持って立ち上がる。





エレベーターホールに行くと、丁度降りて来るところで慌ててボタンを押した。





開いたエレベーターの中には誰もいなくて一階のボタンを押し、壁に凭れ掛かる。





ポーンと心地いい音と共に軽い震動が起きて閉じていた目を開ける。





開いた目に映ったのは―――…葛城さん。




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