求愛ラバーズ
「………お疲れ、様です。」


「お疲れ様……。」





エレベーターに乗った葛城さんは扉の前に陣取ってしまった。





目が合ったのは一瞬だけ。





華奢な背中、細いウエスト、スカートから見える白い足。





抱き着きたい……触りたい。





手を伸ばしたところで着信音がけたたましく鳴り響く。





「はい。どうしたの?」





電話に出た葛城を見てソッと手を退いた。





「うん、今終わったわ。大丈夫よ………急いで行くから待ってて。」





気まずい雰囲気。





「――――っ、葛城さんっ。」


「えっ?きゃっ…。」





目の前にいるのに、手を伸ばせば触れられるのに、一歩踏み出せば抱き締められるのに……なにもしないのは嫌だ。





「ちょっ……何っ。」


「聞いてくれないか……。」





一階に着いたエレベーターの扉が開いてしまい、閉のボタンを押す。





「この前はごめん。気持ちが高ぶって…どうかしてたんだ。でもっ…好きな気持ちは本当なんだ。」




戸惑いで揺れる俺を映す瞳。




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