求愛ラバーズ

――――――三日前だった。





出社するとすぐに社長に呼ばれ、社長室に向かった。





｢おはよう。｣


｢おはようございます。｣


｢仕事前にどうしても話したい事があってな…。｣


｢なんでしょうか。｣





笑顔の絶えない社長の顔を見れ悪い事ではなさそうだ。





｢三井くん。お見合いをしないか?｣


｢…………は?｣





それはそれは酷い間抜け面を晒してたのかもしれない。





｢お見合いを……。｣





社長が言い終える前にバンッと大きな音が聞こえそっちの方に意識が移動する。





音がしたのは社長室の大きな扉で、にこやかな表情を浮かべた女性が立っていた。





―――――どこかで見たことあるんだけど……ダメだ、思い出せない。





キィーっと椅子を引く音が聞こえ、慌てて社長に視線を戻すが既に立ち上がり、扉付近にいる女性を慈しむように見ている。





｢まだ、話終わってないんだが。｣

｢ごめんなさい、あなた。どうしてもありさの三井さんが見たくなっちゃって…。｣





あなた…………もしかして、社長の奥様?