空を見た日。



「ほっとけるかよ!ばーか!」
「……え」



あろうことかあいつは俺を抱き抱えた………もとい、担ぎ上げた。



「な、何やって?!」
「るせー。てめぇが俺を嫌いでも俺にとってお前は初めてのダチ、なんだよ!!きっかけは、まぁ、その、俺が悪かったが………」



確かに俺は背が低いがこれはあんまりだ。



「そのー、だから……」



あんまりだ、あんまりだ、あんまりだ………なのに。

どうして俺は泣きそうなのだろうか?



「だから、心配するし!辛そうなら放っておけないんだよ!」
「………」



大嫌いなのに。

自由奔放で、誰とでも分け隔てなく仲良くなれて。
ただの偽善者なのに。


そう思っていたのに。



「保健室でいいな?」
「………………ごめん」



ヅカヅカと歩いていく柿本の背に向かって小さく謝った。
聞こえているのかいないのかは知らないが、あいつが笑って気にするな、と声をかけてきたのだけは覚えている。










大嫌い、大嫌い。



なのに……







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