セレーンの祝福
相変わらず味付けも絶妙で、唸らずにはいられない。
師匠、いいお嫁さんになれるね。
「カミル、また変な妄想してたでしょう」
こちらをちらりとも見ないのにすぐ言い当てる師匠は、さすがと言えるだろう。
焦ってむせたのが答えとなって、師匠は大げさに溜め息を吐いて見せた。
「ところで師匠。ラグスへ行かないんですか?」
一体何を言われたの?
とまでは言い出せない。
あんなに師匠を呆然とさせた内緒話を、世間話のように聞き出せる訳がなかった。
「行かないよ。カミルはそんなに行きたいの?」
小首を傾げた師匠は、こちらを見透かすような視線で。
思わずどきりとしてしまう。
行きたいって思っちゃ駄目?
そう思ってしまうくらいその視線は鋭くて。
視線をさ迷わせた私に、師匠はくすりと笑った。
「何でそんなに行きたいの?」
「答えたって……連れてってくれないじゃないですか」
子供っぽいのは分かるけど、唇が突き出てしまう。
その子供っぽさを笑うように師匠は口角を吊り上げた。
「分からないよ?連れてってあげるかもしれない」
「……もっと色んなことを見てみたいんです」
ラグス国から帰ってきた村人が自慢げに話す国の様子や食べ物の話。
どんなファッションをしているか、どんな文化があるのか。
聞くだけでは分からないこともある。
いつもそれを体感してみたい、そう思っていた。
小さな頃からの好奇心。
「カミルは相変わらず好奇心が旺盛だね」
答えを予想してたのかもしれない。
師匠は相変わらずくつくつと笑っていた。
「そんなに笑わなくてもいいじゃないですか!」
私の抗議なんて完全無視。
もうひとしきり笑うと、師匠はふぅと一息つく。
その後は、先程の笑い声なんて嘘だったかのような、静かな表情だった。
師匠、いいお嫁さんになれるね。
「カミル、また変な妄想してたでしょう」
こちらをちらりとも見ないのにすぐ言い当てる師匠は、さすがと言えるだろう。
焦ってむせたのが答えとなって、師匠は大げさに溜め息を吐いて見せた。
「ところで師匠。ラグスへ行かないんですか?」
一体何を言われたの?
とまでは言い出せない。
あんなに師匠を呆然とさせた内緒話を、世間話のように聞き出せる訳がなかった。
「行かないよ。カミルはそんなに行きたいの?」
小首を傾げた師匠は、こちらを見透かすような視線で。
思わずどきりとしてしまう。
行きたいって思っちゃ駄目?
そう思ってしまうくらいその視線は鋭くて。
視線をさ迷わせた私に、師匠はくすりと笑った。
「何でそんなに行きたいの?」
「答えたって……連れてってくれないじゃないですか」
子供っぽいのは分かるけど、唇が突き出てしまう。
その子供っぽさを笑うように師匠は口角を吊り上げた。
「分からないよ?連れてってあげるかもしれない」
「……もっと色んなことを見てみたいんです」
ラグス国から帰ってきた村人が自慢げに話す国の様子や食べ物の話。
どんなファッションをしているか、どんな文化があるのか。
聞くだけでは分からないこともある。
いつもそれを体感してみたい、そう思っていた。
小さな頃からの好奇心。
「カミルは相変わらず好奇心が旺盛だね」
答えを予想してたのかもしれない。
師匠は相変わらずくつくつと笑っていた。
「そんなに笑わなくてもいいじゃないですか!」
私の抗議なんて完全無視。
もうひとしきり笑うと、師匠はふぅと一息つく。
その後は、先程の笑い声なんて嘘だったかのような、静かな表情だった。