セレーンの祝福
イサの話で揺らいだのは事実。
だが、そんなことはあまり問題ではなかったから。
「セレーン亡き今、そなたの力が必要だ。分かるな」
有無を言わせぬ彼の言葉は、強制を強いる。
やはり彼は、王なのだ。
「御意」
イサは怒っていた。
あの傍若無人な父の振る舞いに。
特別に扱われるあの男に。
彼があの大戦で多大な貢献をしたのは、自分自身覚えている。
側で見て、彼に憧れていた小さな自分。
だが、10年経ち、自分も大人になった。
自分も彼までとはいかずとも、少なからず国に貢献できるはず。
そう信じてきたし、そう努力を続けてきた。
なのに、あの頃の扱いと何が変わっているだろう?