あたしとリュウイチ
『マミ、今の塾はあなたに合ってないのかしらね』
中3になってすぐに
ママはそう言い出した。
あたしは毎年塾を変っている。
成績が上がらないから
いや、上がってもそれがママとパパの
望む数値まで達していなかったら
せっかくできた塾の友達との関係なんかおかまいなしに
あたしは毎年
ひどい時には毎学期
違う塾に変らせられていた。
(そんなことないよ 今の塾でいいよ)
あたしは喉まで出かかった
その言葉を飲み込んだ。
何を言ったって無駄なんだ。
あたしの言葉なんて
なんの意味も持たない。
あたしが英修学院の生徒にならない限り
この家では普通の人間として扱ってもらえないのが
15年家族をしていてよくわかっていた。