あたしとリュウイチ
『なんで大阪弁なの?』
『大阪弁ちゃうで。1年の途中で神戸から引越してきたから』
『何が違うのかよくわかんない』
『そんなこともわからんのかいな。ほんまこのへんはあかんなあ』
(なんであんたにそんなこと言われなきゃいけないのよ)
とあたしは思ったけど
地元の名士の家の娘としては
面と向かってそんなこと
言うわけなかった。
あたしはいつもそうだ。
自分の気持ちとか
自分の考えとか
いろんなものを
心の奥にしまいこんで
うわべだけをつくろって
毎日を生きている。
小塚が話しかけてくることを
適当に受け流しながら
そんなことを考えていると
先生が入ってきた。