君に染まる(後編)


「何言ってんの、未央ちゃん。
創吾のせいで体調崩れたんだから
これぐらい言ってやんなきゃ」



「そうだよ。
授業もいつも眠そうだし、
レッスンだって身が入らないんでしょ?」



「それは、そうだけど…」



「今日も呼び出されてるんならさ、
この際だしはっきり言っちゃいなよ。
話せば分かってくれるかもしれないし」



話せば…確かに、そうかもしれない…
分かってもらえるかもしれない。



だけど、あたしの気持ちを話して…
呆れられる…なんてこと、ない?



先輩は今までいろんなことを経験して、
きっとこういうことには慣れてる。



それなのに、
あたしとするのを
ずっと我慢してくれていた。



今までは、
あたしが初めてだから
待ってもらう理由にもなってたけど、
ただ“したくない”ってなると
飽きられる気がして…。



めんどくさい、って、思われそうで…。



だから、ずっと断れなかった。



それに、
会うたびにしてることも不安。



創吾先輩はあたしのこと…
ただの“相手”だと、思ってない?










結局、
そんな嫌な考えを2人に言えないまま
放課後になった。


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