君に染まる(後編)


「や、やっぱり私には無理だったみたいです!性に合わないというか…」



そのまま後ずさっていく未央を見つめながら体を起こす。




「先輩を元気づける方法は他に考えます!だから、今までの私に戻って…」

「…戻るのは勝手だけど、俺を元気づける他の方法なんて"それ"以外ないと思うぞ?」



俺の言葉に足を止める。



「…え?」

「正直、俺的にはそういうことが一番嬉しい。理由を知らなかったわけだから戸惑いはしたし心配もしたけど、今なら手放しで喜べる」

「…そうなんですか?」

「そうだよ、いい加減俺のこと理解しろ。それより…なんで俺を元気づけるためにそういうことをしようって考えたのかが分かんねぇんだけど」

「え」

「未央だったら、例えばピアノとか…言い方は変かもしれねぇけど、体張るようなことなんてまずしないはずだろ?したとしても最終手段だろ?美紅にそそのかされたのか?」



けど、未央は肯定しなかった。


それどころか、ひどく狼狽え、更に顔を赤く染める。



「未央?」



首をかしげ、未央に近づこうと立ち上がる。


その途端、未央は顔を強張らせ声を荒らげた。


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