君に染まる(後編)
「こ、来ないでください!」
思わずビクッと体を震わせその場に立ち止まる。
「…未央?」
「あ…あの…ごめんなさい…」
口元を震える手で覆い、後ずさっていく未央に1歩1歩近づいていく。
「…美紅じゃないのか?じゃあ楓?卓?…優?」
どの名前にも首を縦に振らないまま、未央の背中はシャワールームのドアにトンッと当たった。
逃げ場のない未央の前に立ち、まさかとは思いながら最後の名前をあげる。
「…未央?」
ピクッと肩が動いた。
予想もしていなかった展開に思わず目を細める。
「…未央が自分で考えて、自分で行動したのか?」
「……ち…ちがっ…」
「顔真っ赤だぞ」
別に追い撃ちをかけたつもりはなかったが、未央はそう感じたらしい。
急に饒舌になった。