君に染まる(後編)
…なんだか、目の前にいるのは本当に俺の知っている未央なのかと思ってしまう。
こんなに自分の気持ちを見せてくる未央に困惑すると同時に、こんな風にしてしまった原因は俺なんだと思うとたまらなく嬉しかった。
「…つまり」
未央の肩がピクッと動く。
「イブの日に思い切って俺とのセックスに向き合ってみたら、自分でも信じられないほど俺に触られるのが気持ちいいことなんだって気付いた、ってことでいいか?」
「そっ!」
勢いよく顔を上げた未央がスラスラと言葉を並べる俺を信じられないというような目で見つめる。
「そんな…言い方…」
「事実だろ?」
「!?」
顔をしかめると、再び顔を手で覆ってうつむいてしまった。
抱きしめた体は強張っていて、俺の知ってるいつもの未央だ。
「悪い…でも嬉しいんだよ。そんな風に思ってくれるようになって」
首筋に顔をうずめる。
くすぐったそうに身じろいだ未央を更に強く抱きしめた。