君に染まる(後編)
「…自惚れ?いいじゃねぇか、もっと自惚れろよ」
「え?」
「欲求不満だって喜んで相手してやる。触れ合うことに慣れてきたってのはいいことだしよ」
「先輩…あっ…」
隙をつき、両腕を掴んで扉に押し付けた。
必死に隠していた顔がいとも簡単にさらけ出されたことに未央が動揺する暇もなく唇を重ねる。
「…未央はさ、何もかも俺とが初めてな上に知識なんてほぼ無い状態で俺に流されるがままいろいろしてきたわけだろ?」
未央は視線を泳がせながら小さな声で「はぃ…」と答えた。
「そんな奴からしたらキスだってセックスだって恥ずかしくてただただ緊張するものなんだよ。けど、普通2、3回すれば慣れる。慣れるっていうか…そうだな…恥ずかしいし緊張もするけど、もっとしたい…って思うってとこか?」
「わ、私は普通じゃないってことですか…」
「別にそういう意味じゃねぇよ。未央は純情すぎるから、気付かないとこでそういうことをするのに抵抗感が残ってたんだろ」
「…純情?私が、ですか?」
「ああ。自分じゃそう思わねぇの?」
「だって…さっきも言いましたけど、その…最近は本当に、ひどくて…」
おそらく未央は欲求不満のことを言っているんだろう。
どの程度かは知らないが、未央の欲求不満なんて俺からしたら可愛いもんだろう。
俺の言葉に納得がいかないのか首をかしげる未央に軽くキスを落とした。