君に染まる(後編)


唇が重なる瞬間、慌てて顔をそらす。



「未―――」



「あ、あたし、飲み物買ってきます!」



「は?あ、ちょ…」



顔をしかめる先輩に背を向け、
ベッドルームを飛び出した。










それで…どうしよう?



一応買ってきた飲み物を握りしめ、
VIPルームの前で考え込む。



戻ったって話す勇気ないし…
きっといつもの雰囲気に
なっちゃうんだろうし…。



うーん…と、扉の前でうなっていると、
足元に何かふわふわしたものを感じた。



「みゃあー」



視線を下げると、
キレイな毛並みをした子猫が
足にすり寄っている。



あ…裏庭の猫かな?



人懐っこくじゃれてくる子猫を
優しく撫でてやると、
どこからかもう1匹やってきた。



「みー」



「みゃっみゃっ」



2匹の子猫はお互いに鳴き合い、
裏庭の方へ駆けていく。


< 14 / 268 >

この作品をシェア

pagetop