君に染まる(後編)
「…先輩?」
頭を抱える俺に未央が心配そうに声をかける。
…もうぐちゃぐちゃだ。
頭の中、とても整理できるような状態じゃない。
「…っ…っは……っぁ…」
息苦しい……考えすぎて、悩みすぎて、おかしくなりそうだ…。
このまま未央といたら、きっと、もっとひどいことを言ってしまう。
「……っ…未央…悪いけど、俺今日はもう―――」
「帰る」と続けようとした言葉を遮ったのは、未央の腕。
細いその腕と華奢な体全体で包み込むように俺を抱きしめてくる。
「み…未、央…?」
腕の力は意外と強くて、ぎゅっと抱きしめられるものだから未央の胸に顔をうずめる状態になってしまう。
体勢を変えようとしても必死に俺を抱きしめる腕の強さは増す一方。