君に染まる(後編)





「……んっ…はっ…」


無意識のうちに重ねた唇はさっきより少しすっぱい気がした。


そういえば、泣かせてしまったな…と思い出しながらゆっくり未央を押し倒す。


肩に置かれていた未央の手は俺の背中へまわり、俺は未央の髪に指を絡める。



深くなっていくキスにお互いがお互いを求めている気持ちがひしひしと伝わってくる。



触れる手も熱い。




こんな風に未央とキスをするのは初めてかもしれない、と思った。

いや、実際はイブの日から…未央の気持ちが変化しだしてからなのかもしれないが、はっきりと未央の口から「触れ合うのが嬉しい」と聞く聞かないでは感じ方も変わる。




唇を離し、未央を見つめる。

目を閉じていた未央はゆっくりと目を開き同じように見つめ返す。



「…好きって言って」

「…え?」

「何かしてくれるんだろ?…好きって言って」


未央は困ったように眉を八の字にした。



「…それで、少しは怖くなくなりますか?」

「ん…」


ホントはそんなわけないが…そう言わないと未央は好きだと言ってくれない気がした。


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