君に染まる(後編)


時々立ち止まって
あたしの方を振り返るものだから、
おいで、と言われてる気がして
後をついていった。



2匹の子猫を追いかけて
やってきた裏庭には、
たくさんの猫に囲まれた優先輩がいた。



小皿にミルクを注ぎ、
すり寄る猫達にあげていた優先輩は
あたしに気付いて顔をあげた。



「あれ…どうしたの?」



「え?あ…その…この子達が…」



あたしがそう言うと、
あたしの足元で鳴き声をあげる子猫に
視線をうつした優先輩。



「ああ、そいつら新入りだよ。
ノラにしては毛がキレイだから
迷いこんだんだろうね」



「そうなんですか…」



あたしはしゃがんで2匹の頭を撫でた。



「なついてるね。
未央と創吾、
どっちの匂いに反応してんだろう」



「…どういう意味ですか?」



「だって、
毎日ヤってたら匂いぐらいうつるでしょ?
動物って鼻いいし。
そいつら創吾にもなついてたから
どっちの匂いに反応―――」



「ど、どうして知ってるんですか!?
その…こと…」



「部屋で美紅と楓が話してたから。
あ、卓も一緒だったっけ」



あの2人…。


< 15 / 268 >

この作品をシェア

pagetop