君に染まる(後編)
「本当に分かってますか?合コンに行くわけじゃないんですよ?ただの同窓会ですよ?」
「それはこっちのセリフだ。本当に分かってんのか?男がどういう生き物か」
その言葉で口を噤む。
なぜそこまで考えが飛躍するのか分からない。
「…創吾先輩は、私の彼氏です。でも、だからって…言うことを聞く必要はないと思うんです」
「未央?」
「同窓会には行きます。…今日はもう帰ります、さようなら」
淡々とそう言い、雑に頭を下げてドアへ向かう。
勢いよく肩を掴まれたことに驚いた時には、開きかけていたはずのドアに体を押さえつけられていた。
目の前には先輩の顔。
「同窓会には行くな。その日は俺と約束があるって断れ」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
私が理解するより早く再び先輩が口を開く。
「言う通りに、しろ」
言葉とは裏腹に先輩の口調は弱弱しい。
だけど…。
「い…や、です…」
瞬間、顔をしかめた先輩は私のあごを掴んだ。
「……っ!」
顔を近づけてくる先輩の体を思い切り押すと尻餅をつくほど勢いよく倒れた。
驚いた顔で見上げてくる先輩にやりすぎたと思いながらも、何も言わずベッドルームから飛び出した。