君に染まる(後編)
お店に着くと座敷タイプの個室に案内された。
襖を開くと一斉に視線が集まる。
「未央ちゃん!楓!!!」
わらわらと私と楓ちゃんの周りに女の子が集まってきた。
「超久しぶりじゃん!元気?元気?」
「わー久しぶりー髪染めた?」
「ちょっとだけねー。2人とも全然集まりきてくれないからさー寂しかったよー」
「私も未央も忙しいのよー特に未央は、ね?」
そう言いウィンクをしてくる楓ちゃんに顔が赤くなるのを感じる。
「そ、そんなことないよ…楓ちゃんの方がバイトとか大変そうだし…」
逃げるように空いている席に座る。
隣に座った楓ちゃんが「照れなくてもいいじゃーん」とからかってくるのに反応しないよう上着を脱いだ。
辺りを見渡すと懐かしいメンバーがもうほとんどそろっていた。
時間に遅れたわけじゃないけれど…ほぼ全員がそろうこの会をみんなが楽しみにしていた証拠なのかもしれない。
やっぱり、来てよかった…。