君に染まる(後編)
「はいはいはい、そんなに気になるなら私が教えてあげるから」
楓ちゃんが私の顔を覗き込み「話してもいい?」と優しく聞いてくる。
こくりとうなずくと楓ちゃんはコホンと咳払いをした。
「結論から言うと、未央にはー…すごくかっこいい彼氏がー…できましたあ!」
「きゃあああああああ!!!!!」
「ええええええええ!!!!」
会話に参加していなかった周りの子達からも声があがる。
「ホントに!?未央ちゃん彼氏できたの!?」
「どんな人どんな人?写メないの!!?」
一斉に質問攻めにあう私にまた楓ちゃんが助け船を出してくれた。
「写メなら私が持ってるから落ち着きな!ほらほら」
楓ちゃんの携帯を取り囲むように人だかりができる。
「超イケメン!モデル?俳優?」
「モデルでもないし俳優でもないよ。何その安易な考え」
「どっちから告白したの?まさか未央ちゃん?」
「相手からよ。未央にベタ惚れなんだから」
「えー!うらやましー!私のと交換してよ未央ちゃーん!」
「は…ははっ……」
引きつった笑顔を浮かべながら楓ちゃんの携帯に視線を向ける。
不意打ちで撮られたような表情を浮かべる創吾先輩に胸が詰まり、未だ電源の切れた携帯が入っているカバンをぎゅっと握る。
「ねえ…この顔どっかで見たことあるんだけど…誰かに似てない?」
「あ、それは―――」