君に染まる(後編)
「……あの………ひとついいですか?」
「何?」
「創吾先輩にとっての“彼女”って…
ただの“相手”なんでしょうか?」
「…は?」
「その…会うといつもしてて…
っていうか、それ以外何もないから…」
ぶつぶつと呟くように話すあたしに、
優先輩はため息混じりで聞いてきた。
「未央はさ…創吾と何がしたいの?」
「え?」
「例えば…
デートとか、放課後一緒に帰ったりとか…
そういう普通の高校生カップルに
なりたい?」
「そういえば…考えたことないです…」
「考えたことなくても
無意識にそう思ってんじゃない?
少なくとも、俺にはそう聞こえた」
ミルクを飲み終えて満足したのか
その場で眠りだす猫達を
優先輩は優しく撫でる。
「ホント…世話がかかる…」
ふいに呟いた言葉に、
同じように猫を撫でる。
「…でも、可愛いですね」
笑顔でそう言い、優先輩を見ると、
なぜかため息をつかれた。
「鈍い…」