君に染まる(後編)
「…離してくださいっ…創吾先輩…!」
足を踏ん張っても手を振り払おうとしても先輩の力には勝てない。
店員さんやお客さんに怪訝な顔をされながらそのままお店の外まで連れていかれた。
「創吾先輩!」
さっきよりも少しだけ大きな声をだすと先輩はピタッと足を止めた。
手の力が強まり顔を歪める。
「っ…先輩、痛い………」
先輩の手を引き剥がそうとするけどやっぱり無理だ。
手が痺れてきた…感覚がなくなってくる…痛い…。
「…あーいう奴らがいいのか」
ふいに呟かれた声に顔をあげる。
「未央は、あーいう奴らといる方が楽しいのか?」
先輩の顔が見えない。
どんな顔でそんなことを言っているのだろうか。
「…あの…音信不通になってたことは謝ります…でも、どうしても同窓会に行きたくて…」
「俺といるより、あいつらといる方がいいんだろ」
「ちがっ…どうしてそうなるんですか!」
「俺は、行くなって言った。それなのに未央は聞かなかった」
「聞かなかったって…だってそんな…」
そんな…命令されるように言われたって聞けるわけない。
…そもそも先輩はどうしてここまで執着するのだろう。
男の子も参加するからといって少し過剰すぎる。
ただのヤキモチとは何か違う…何か他に理由があるんじゃ……。