君に染まる(後編)
「百瀬!」
振り返ると高杉くんがそこにいた。
それと同時に先輩の手から解放され強く掴まれていた腕はズキズキと痛み始める。
腕を押さえうつむくと高杉くんが心配そうに駆け寄ってきた。
「どうした?」
押さえていた腕にそっと触れた高杉くんは私の反応を見ておもむろに裾をまくる。
「…っ」
くっきりとまではいかないけれど、確かに赤く掴まれた跡ができていた。
「…おい、あんた」
高杉くんが創吾先輩を睨む。
「あんた、百瀬の彼氏なんだろ?なんでこんな酷いことできんだよ!」
「高杉くん、やめて…」
「なんでだよ!こんなことされて放っておけるわけないだろ!」
「ホント、大丈夫だから…」
「大丈夫なわけあるかよ!普通じゃねぇよこいつ!!」
高杉くんが感情的になってる。
もし創吾先輩までその気になったら騒動になりかねない。
とりあえず高杉くんを落ち着かせようと口を開きかけると、はっ…と渇いた笑いを創吾先輩がこぼした。