君に染まる(後編)
酔っぱらい〓創吾side
「坊ちゃん、未央様はどうされました?」
車のドアをあけかけていた畠山が首をかしげそう聞いてきた。
「俺だけだ。早く出せ」
中途半端にあいていたドアを自分であけ車に乗り込む。
「よろしいのですか?」
「いいから出せ」
バックミラー越しに見つめてくる畠山から目をそらすと「かしまりました」と、いつもの調子で返事が返ってきて車が動き出した。
俺は…こんなに憶病だったか?
こんなにも情けなくてかっこ悪い男だったか?
1人の女に振り回されるような男だったか?
たった1人の女と別れることさえできない…優柔不断な男だったか?
頭を抱え、大きくため息をつく。
目を開けると未央とお揃いのネックレスが目に入った。
未央と初めてデートをした時に贈ったネックレス。