君に染まる(後編)
「え?」
「いや…はぁ…ホント疲れる…」
顔をしかめる先輩に思わず首をかしげた。
「でさ、さっきの質問のことだけど…
創吾に限らず男っていうのは
大体同じこと考えてんだよ。
いくら説明したって
到底女には分からないことや、
理解できない感情。
どんなに大切にしてる人だろうと
自分を抑えることができない時もある。
けどそれは、
本気だからこその過ちなんだ」
「…本気?」
「あれだけモテる創吾だよ?
女なんて選び放題なわけじゃん。
それなのに未央を選んだ。
それは、未央に本気だからじゃないの?」
…あたしに、本気?創吾先輩が?
「…そうでしょうか」
「え?」
「いくら自分を抑えられないからって
相手に無理をさせるのは
本当に本気って言えるんですか?」
すがるような思いで優先輩に問いかける。
真剣に見つめるあたしから
一瞬目をそらした優先輩は、
頭をかきながら口を開いた。
「ならさ、ちゃんと創吾に話しなよ。
美紅達にも言われたんでしょ?
…それとも、話せない理由でもある?」
「え…」
優先輩の言葉にドキッとする。