君に染まる(後編)
携帯が震える。
頭をあげながらポケットの中の携帯を取り出し画面を見ると美紅からの着信だった。
「……もしも―――」
『バカ!!!!バカ創吾!!!!!!!!!!あんた何やってんのよ!!!!!!!』
瞬時に携帯を耳から遠ざけても車内に響き渡るほどの怒鳴り声だった。
『ちょっと聞いてんの!!!??なんとか言いなさいよバカ!!!』
「分かったから…声のボリュームさげてくれ…」
『何よえらそうに!あんた未央ちゃんに何言ったのよ!!!!』
「何って…」
ため息をつき頭をかかえる。
大方、楓が連絡をいれたというとこか。
「美紅には関係ない」
『何言ってんのよバカ!!!この大バカ!!!!今楓ちゃんから連絡があって未央ちゃんが…ハァ、なんでもない』
「あ?未央がどうしたって?」
『なんでもないって言ったでしょバカ!』
「おい!未央がなんだよ!未央に何かあったのか!?」
『だからなんでもないわよバカ!!だいたいねえ!いくら彼女が心配だからって同窓会に乗り込んで無理やり連れて帰ろうなんて最低の男よ!!!恥を知りなさい!!』
「…関係ないだろ」
『関係あるわよ!未央ちゃんを傷つける奴はたとえ創吾だろうと絶対許さないから!何があったか知らないけど、1人で抱え込まないでちゃんと未央ちゃんに話しなさい!!!』
「待て、なんの話だ?」
携帯の向こうで小さくため息が漏れる。