君に染まる(後編)
思わずドキッとする俺に小さく微笑んだ未央はゆっくりと口を開いた。
「…そーご」
…え?
あまりにも唐突すぎて目を丸くする。
今、なんて?
俺の名前…呼び捨て?呼び捨てにした?
頭の中で整理がつかずバカみたいに口を開き瞬きを繰り返していると、未央が更に追い打ちをかけてきた。
「そーご……好き」
言葉が出ない。
柄にもなく自分の顔が真っ赤に染まっているのを感じる。
「大好き……」
首を傾け目を細めながら再度口を開いた未央から目をそらすことができずただただ狼狽える。
まるで俺の返事を待っているようにじっと見つめてくる未央の瞳に全身が火照る。
俺らしくない…と思いながらも耐えられなくなりそのまま後ずさりを試みるがそれに気付いた未央がぐいっと顔を近づけてきた。