君に染まる(後編)
「…大丈夫か?」
「え?」
「昨日、酔いつぶれてたからな。頭痛いだろ」
「酔い…」
………そうだ。
確か同窓会で私初めてお酒を飲んで…あれ…どうしてお酒なんか―――。
『未央…俺、お前と…』
蘇る昨夜のこと。
できれば思い出したくはなかったこと。
何もかもがフラッシュバックして、血の気が引いていくのを感じた。
「…未央?」
先輩の顔を見ることができない。
沈黙の中、別れを切り出されたらどうしようと焦る。
…それよりも、よく考えたらお酒を飲む前までの記憶しかない。
酔いつぶれていたと言われたけれど、あの後どうなって、どういう経緯で今先輩の部屋にいるのか…。
ハッとして、自分の携帯を探す。
ソファーテーブルの上に置かれていたカバンを見つけ、慌ててベッドから飛び降りた。
先輩からの着信、メールが入っていないか確認するものの、同窓会に行く前までの履歴しか残っていない。