君に染まる(後編)
「俺の勘違いじゃなかったら…昨日俺が言いかけた………その…」
口ごもる先輩。
少しの沈黙の後、先輩の腕に抱きしめられた。
強くぎゅっと抱きしめるから苦しくて…なのに、もっともっと抱きしめてほしい。
離さないでほしい。
そんな気持ちと比例するように自然と腕が、先輩の背中に回った。
先輩と同じようにぎゅっと力をこめる。
「…好きだ未央」
絞り出すような声。
「好きだ…俺の側にいてくれ……」
クリスマスイブの時のように、とても弱弱しい声。
先輩から感じた「別れ」の気配は、自分が思っていた以上にダメージが大きかったみたいで…「好き」の言葉だけでこんなにも気持ちが楽になる。