君に染まる(後編)
だけど、
わざわざそんな質問に答えられるほど、
あたしはこういう話題に慣れていない。
「やっぱ、獅堂先輩って…おっきい?」
「なっ…!?」
楓ちゃんの質問だって
ほとんど未回答のままだった。
「血、出た?」
「お、覚えてないよ、そんなこと…」
「もう、覚えてないわけ無いでしょ?
アリバイ作りに協力してあげたんだから
ちゃんと答えなさい!」
「それは…」
それは…本当に感謝してる。
無断で外泊なんて、
下手すれば気絶してしまうほど
シスコンなお兄ちゃん。
しかも、相手が彼氏だって知ったら…。
それを、創吾先輩に話すと、
『お前のアニキだから
嘘なんてつきたくねぇけど…
今日は離れたくねぇ』
そう言って、
美紅先輩と楓ちゃんに
アリバイ作りに協力してもらうよう
頼んでくれた。
心よく協力してくれたものの、
“じゃあ、
どんな質問にも答えてもらうからね?”
なんて、条件を出されてしまった。