君に染まる(後編)
「未央が他の男と話すの嫌だ」
そう言って、ぐいっと顔を近づけてくる。
「他の男と一緒にいるのも嫌だ。」
軽く唇を重ね、何度も何度も触れるだけのキス。
「…他の男が未央の名前呼ぶのも、未央のこと考えるのも、未央のこと好きなのも…んっ…嫌…」
腰を抱かれ、先輩に抱きしめられる。
舌を絡められるたびピクッと私が反応すると先輩の腕の力が強くなっていく気がする。
「逆も…未央が他の男のこと考えるのも、嫌……絶対やだ…」
「…せんぱっ……っ…」
「最近はさ、楓にも嫉妬する…んっ……楓と出かける時間あるなら、俺のとこ来いよ、って」
「で、でも…っ……先輩だって、お仕事で会えない時あるから、それはお互いさまじゃ……あ、ゃ…」
「じゃあ、仕事の時も未央と一緒にいる」
「そんな…っこと…」
喋りながらもどんどん進んでいく行為に頭が真っ白になっていく。
首筋に触れる先輩の唇がくすぐったくて声が出る。
「未央の携帯の連絡先も俺だけでいいじゃん、とかさ」
「…せ、めて……あの、家族の分は……」
そう言うと先輩は吹き出した。
「くくっ…確かにな。そうだな。お父さんと、お母さんと、アニキの分は残そうな」