君に染まる(後編)
そっと私の髪に触れる。
「…可愛い」
顔が赤くなるのを感じて思わず視線をそらす。
「…それ」
「え?」
「そーいう未央が一番好き」
おでこに、まぶたにキスを落とされる。
「"好き"って言ってくれんのはホント嬉しい。もっと言って、ってなる。でも、そう思うだけでもっと言われると我慢きかなくなるしさ、なんか…違うんだよ」
「違う?」
「呼び捨ても嬉しいし、積極的なのも最高だし、未央からしてくれんのも、マジで!嬉しい。でも、やっぱ―――」
「ま、待ってください。今なんて…」
きょとんとする先輩が眉間にしわをよせる。
「…え、何。覚えてないのか?」
「な、何をですか…」
「何って昨日のアレ…え?マジ?お前酔ったら記憶飛ぶタイプ?」
「タイプも何も、お酒飲んだの昨日が初めてで…というか、本当になんの話で…」
「はぁ~~…マジか……」
あからさまにショックを受けている先輩に、私はなんのことか分からずただただ戸惑うばかり。